むし歯も歯周病も細菌感染症です。したがって多くは十分予防が可能な疾患です。しかしながらすべての人が細菌に対する感受性が違うため、まずは検査によりご自身のお口の状態を把握することが重要です。
虫歯に対しては数社から「唾液検査*」といって虫歯菌の種類や量を、また唾液量、唾液のpHが測定できます。歯周病に対しては歯垢を採取することにより歯周病菌の種類や量を調べます。さらに歯周ポケット測定により一本一本の歯の状態を詳細に把握します。
検査結果より食生活を含めた生活習慣の見直しや各個人に合わせた歯ブラシの実地指導、虫歯や歯周病の成り立ちについての正しい理解、フッ素利用やマウスピースを使用した虫歯予防のジェル剤を使ったドラッグデリバリーやキシリトールの摂取、かみ合わせの精査から調整などなど・・を個々に合わせて治療計画を立案し実行していきます。
特に歯周病に対してはブラッシングが大変重要になります。食べかすをとるのがブラッシングではありません。細菌のかたまり(歯垢)を落とすのが必須です。正しいブラッシングにより、ばい菌の住み家になる歯垢を取り除くことができます。ブラッシングの重要性は下記のたとえ話より感じ取っていただければと思います。
歯周病の原因菌を雨にたとえるならば、歯がある限り降り続きます。自然に雨が止むことはありません。そして、自分が歯だとすると立っている地面がぬかるんでしまうのが歯周病です。歯周病治療とはぬかるんだ地面を改良してならすことです。雨が降り続く中で地面をならしても一時的にしか良くならずどんどんぬかるんでしまいます。
歯周病を良くしたいと思うならばまず傘をさす必要があります。これがブラッシングになります。傘をさすと自分の立っている周りの地面が乾き、地ならししやすくなります。ならした地面を維持するには傘をさし続ける必要があります。つまりブラッシングは継続しなければ歯周病治療の意味がないということになります。
最後に予防を確実なものにするため定期的なTeeth Cleaning(Professional Mechanical Teeth Cleaning:PMTC)を数か月ごとに受けることをお勧めします。
*「唾液検査」とは
唾液分泌量検査:5分ほど味のついていないガムを咬み出てきた唾液を容器に集め総量を測定します。
抵抗力の調査:出てきた唾液を検査用紙にたらして数分後に検査用紙の色の変化により唾液の緩衝能を調べます。
虫歯菌の数の調査:集めた唾液を専用の培地にたらして2~4日間培養器に入れ培養しむし歯のばい菌の種類と数を調べます。